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吉澤美香の個展 11月2日から 

2013/10/26

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たー25 2013年 153x200cm グアッシュ、合成紙、ラミネート加工

たー25 2013年 153x200cm グアッシュ、合成紙、ラミネート加工

 

畏れの文様

骨董店で背守りの付いた子どもの着物を見たことがある。むかしの子どもの着物には、背中や付紐などの衣服の一部に魔除けの刺繍を施す風習があったと店主がおしえてくれた。そういえば、お宮参りや七五三の着物にそういうのを見たことがあるような気がする。無防備な背中を守るために付ける背守りとは、武勇を表す独楽やトンボ、福を呼ぶコウモリ、花鳥など、縁起のよい文様をシンプルなデザインで刺繍したもので、数多くのパターンがあることをあとで知った。科学や医学が未発達のころ、ともすればすぐあちら側に行ってしまうはかない命を繋ぎとめようと願う、祈りの形である。神や自然を畏れる心がそこにある。 2年前に公園で花を観ていたときに震災が起きたことと、この背守りがリンクし、ハンカチなどの小物にあしらわれる凡庸なフラワープリントの無敵感でアウトプットした。

2013年10月23日
吉澤 美香