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荒川 修作

荒川修作を巡る二つの講演会 国立国際美術館 

2010/06/17

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 ご報告が遅くなりましたが、国立国際美術館でふたつの講演会がありました。

ひとつは5月29日(土) 名古屋ボストン美術館の馬場駿吉氏と国立国際の館長、建畠館長の対談です。

 おりしも、5月19日に荒川修作が急逝し、荒川を巡る二人の館長の対談は荒川追悼の雰囲気に包まれました。しかし建畠さんは亡くなってもただ追悼するということではなく、われわれがその思想を今後ひき継いで行こうという意識でやっていかなくてはと発言されました。開演前にも、荒川+ギンズはアメリカでも劇的に再評価されつつあったとの話を伺いました。馬場先生は、70年代から荒川と親しく交流され、過去の荒川+ギンズのとの写真や資料も紹介。

 耳鼻咽喉科の医師でもある馬場氏は、医学の側面からも、荒川を解説されました。アラカワ+ギンズの創作の場として、NYのバブリック・ライブラリーの分室に案内されたことなど貴重なエピソードも披露され、充実した対談でした。東京から朝日新聞の田中三蔵さんら作家と金沢21世紀美の平林さん、名古屋芸術大学の高橋さんなど作家と親しかった関係者も駆けつけ、初期作品のみを語るのではなく荒川さん自身の人柄やアラカワ+ギンズの現在の仕事にまで触れた有意義な会となりました。

  

 
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 もうひとつは展覧会の初日に行われた、森田恒之氏による「現代美術の作品を残す意味と方-荒川修作「砂の器」その周辺の場合」です。

 これは森田氏が建畠氏の紹介で初期の荒川作品の修復4点を監修。ABRF(荒川事務所)が秋山工房と協力し修復を実施。保存科学の第一人者である森田
生は保存科学の観点から、元の材料をなるべく生かした修復方針をたてて「砂の器」(ネオダダ第2回展に出品)
の修復を実施。

 50年ぶりの展示となる「砂の器」は森田氏が独自に開発したツールによる電気分解によって布の錆の洗浄を実施。荒川が発表当時使用した布や箱を、そのままに生かしながらも、

修復不可能と思われた作品の修復に着手。殺菌、ミリ単位での錆の洗浄、長時間の膠の注入など

気の遠くなるような地道な作業を繰り返して作品は復元され、本展で50年ぶりに公開されました。

 

 

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