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吉澤美香からコメントが届きました。
横浜の自宅近くにあるスタジオにいたその日、ふと思い立って制作をお昼でおしまいにし、徒歩20分くらいのところにある公園に向かいました。早春の花が見たいと思ったのです。四季の花木の植栽で知られるその公園では、春の最初の花々が香っており、シャクヤクの赤いツノのような新芽が地面からにょきにょき突き出し、クロッカスの紫の花びらが午後の日射しに透けて縞模様を描いていました。
地面に顔を寄せ、ありあわせの紙切れにボールペンでスケッチをしていたら、地面が揺れ出し、傍らの鴨池が水音を立てて波打ちました。
私は早春の香りにつつまれて大地震に会いました。
音楽や映画や絵画やなんかの、アートといわれるものの力を私は信じる。
でも自分にそういう力があるなんてことは全然信じられません。それでも、社会のために私ができるのは絵を描くことだなんて少しでも思おうとしていたかもしれない。
なんという思い上がりだったことか。
この想像を絶する現実を前に、自分に何かできることがあるとは到底思えないけれど、何もしないでいることも到底できない、今はそれ以上のことは考えられません。
あのとき公園に満ちていた春の息吹きを想いながら、新たなドローイング群を描いています。
2011年3月18日

