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富岡直子個展開催 

2017/06/22

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光の表現を探求する画家、富岡直子の新作展を開催します。「クインテットⅡ」「18thドマーニ]でも注目された富岡直子の新作と、白亜地を削りだして抽象的な形態を描いた過去の小品など、12点を展示します。

 

富岡直子  朝もや―気配にたたずむ  108×140 cm  2017  アクリル、麻キャンバス、パネル  (C) Naoko Tomioka, Photo (C) Hideto NAGATSUKA

富岡直子 「 朝もや―気配にたたずむ」 2017  108×140 cm アクリル、麻キャンバス、パネル

(C) Naoko Tomioka, Photo (C) Hideto NAGATSUKA

 


<作家コメント>

  絵画の中で「世界」を問い、「光」=希望のようなものが現われることを求めて描いてきた。生と死、いつどうなるかわからぬ命、世界は突然変わってしまうのだ・・、という実感から制作してきた。そんな現実を生きていくときに、私を支えているものは、友人のあたたかな言葉や、幼いころの記憶、私の中に溜められた多くのかけがえのないあたたかなもの=光=希望だ。

 

  初期の絵画では、抵抗感のある白い平滑な下地をつくっていた。「白」は他者であり死であり、同時に無垢な生でもあった。白い下地をつくる段階から「世界」と向き合い、透明な色を重ねながら描くことで光を現出させる表現は、一見冷徹な世界の中に「光」を見出しながら生きていくこと、そのものだったのかもしれない。

 

  色は、世界を表現する大きな要素であり、白と何色かの色で関係を築いて「世界」を問い続けながら展開してきた。そのような仕事の中から、今回は2006年のNY滞在中に制作した小品「06-04」、「06-05」を展示する。

 

  2006年前後より、風景をモチーフに光を描いている。水平線の上下は外なる世界と内なる世界のメタファーでもある。水面は、鏡のように映すだけではなく、共鳴する様を描いている。画面から「白」がだんだん少なくなったが、それは無くなったのではなく内在化してきたのだと思う。

 

   近年はとくに「朝」の光に魅せられている。しだいに明るむ朝の、すべてのものを明るみに導いていく力や、無垢な光景を描きたいと思った。 新作では、朝のもやのような空気感を表現している。寒さに向かう庭が、季節外れの湿り気のある空気に潤んだ様相を見せたとき、不意に心に光がともったような感覚が湧きあがった。 

 

そのような「希望」を呼び覚ます光景を描きたいと思っている。